自転車事件 |
かふぇ倶楽部会長こと新人Mさん(仮名)。 将来を嘱望される優秀な人である。 そんな彼女が自転車に乗っていて恐ろしい目にあったと話してくれた。 Mさんが中学生の頃、山頂まで自転車をこいでいき、山頂から一気に急な坂道を自転車でガァッと下るというハードな遊びが流行した。 彼女はその遊びに参加してはいたものの、「そういうことをすれば危険だ」という冷静な判断ができる人だったので、他の子供たちとは違い、ブレーキをかけながらゆっくりと坂を下っていた。 ところがあるとき、悪魔のささやきが彼女の心に入り込んできた。 「もしかして、一気に坂を下りると気持ちがいいかもしれない」 その日、いつものように友達や先輩と連れだって山へ行った。 さっそく、Mさんは実行に移した。 一気に坂道を下るのは思った通り爽快だった。 しかし、坂道は一直線ではない。 所々でぐにゃぐにゃとカーブがある。 もしハンドル操作を誤れば、林の中へ突っ込んだり、ガードレールに突っ込んで崖から落ちたりすることも……。 ふとMさんは恐怖に駆られて、ブレーキをかけた。 しかし、今はブレーキをかけて減速できるような状態ではなかった。 何しろ、山頂からしばらく下っているから加速は半端ではなかった。 ブレーキをかけたことによって自転車は止まるどころか、車体が左右に振れ始めたのである。 Mさんによれば、「おそらく45度はいっていた」らしい。 Mさんはバランスを崩して転倒してしまった。 ただ転倒するだけならよかったのだが、自転車ごと横倒しになったMさんはそのまま加速し続けて坂道をガガガガガガガガガという大音響と共に滑っていった。 先行していた友達や先輩は異常な音に気付いた。 ふと見るとMさんが自転車のハンドルを掴んだまま横倒しの姿勢で背後から迫ってきているではないか。 坂が緩やかになってMさんが道路との摩擦でそれ以上進まなくなったのを見計らって、友達と先輩はMさんをそこから一番近い知り合いの家に護送した。 Mさんの衣類は摩擦のために袖が溶けたようになってちぎれ飛び、ズボンはナイフで切り裂かれたようにびりびりに破けて跡形もなかった。 もちろん、道路と接していた半身部分は血と泥でベタベタになっていた。 友達と先輩はMさんに丁寧に赤チンを塗り、懸命に看病した。 Mさんは自宅へ帰った。 その様子を見た母親は「あんた、何、それは!!」と叫び、Mさんを病院へかつぎ込んだ。 医師はMさんを一目見てこういった。 「こんなに赤チン塗りたくられてちゃ、けがの状態が分からないから診察できません。赤チン落として出直してください」 仕方なく、キズに染みるのを我慢して風呂で赤チンを落として出直した。 結局、病院で半身をミイラのようにガチガチに固定されて包帯を巻かれてしまい、Mさんは腰を曲げた熊のような姿勢でしか座れない状態になった。 年頃の乙女にとってはなかなかイタイ事態である。 事情を知らない周囲の人からは「どうしたの?」と事情を尋ねられることも少なくない。 Mさんは恥を忍んで原因を告白しなければならず、そのたびに人に笑われた。 部活動で大会に出場するレギュラーとして登録されていたにもかかわらず、このケガでは出場も叶わない。 大会中は包帯でぐるぐる巻きにされたまま熊のような姿勢でベンチを温めるしかなかった。 「二重に痛い思い出でした」とMさんは締めくくった。 まだまだ謎がありそうなMさん。 彼女がこれからどんな事件を起こしてくれるか、我々はちょっと期待している。 |
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