鉄観音事件 |
かふぇ倶楽部会長こと新人のMさんは物静かで上品な人である。 そのMさんが過去の辛い思い出を語ってくれた。 学生時代、Mさんは先輩に「鉄観音って知ってるか?」と訊かれた。 「いえ、知りません」 Mさんは中国茶に詳しくなかった。 先輩はこう語ってくれた。 鉄観音とは中国茶の一種である。 このお茶は大変珍しくおいしいことで知られ、高価である。 なぜ珍しく高価かというと、このお茶を入れるとき、急須の中に茶葉と共に3pほどの大きさの鉄製の観音像を入れるのである。 この観音像は世界で7つしかなく、4体が中国に、2体が台湾に、1体が日本にある。 よって、観音像がない限りこのお茶を入れることができない。 観音像が数少ないために味わうことができるのは極限られた少数の人だけである。 Mさんは先輩の博学ぶりに感心し、「勉強になりました」と礼を述べた。 すると、先輩曰く「信じてやんの〜」。 Mさんは純粋でいい人ゆえにこのようないたずらに引っかかることも珍しくないという……。 Mさんは「先輩には鍛えていただきました」とあくまでも謙虚な姿勢を忘れない人である。 |
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