絵馬事件 |
友人と郊外のドラッグストアに行った。 乙女のみなさんなら分かってくれると思うが、ドラッグストアというのは用もなく入っては、いびきを軽減するシールとか便秘に効く靴の中敷きとか飲むだけでダイエット効果がある錠剤など訳の分からぬ商品を見て楽しむところである。 たまに必要な薬や雑貨を買うのだ。 さて、いつもの通り我々は店内に潜入したのだが、カニ歩き、後退など、どのように入店しようとも店員の「いらっしゃいませ」の声からは逃れられないのだ。 「ほな、潜入ちゃうやん」などと思わないでほしい。 気分としては「潜入」である。 私は特売のシートマスク(不織布にオレンジだのレモンだののエキスが染みこんでるアレ)と足の指を広げるスポンジを買った。 「いらんもん買うてるやん」などと思わないでほしい。 乙女には時としてこういうものを使ってみたい衝動に駆られるときがあるのだ。 このドラッグストアは品揃えがいい上にこの辺りでは一番値段設定が安いのだが、バーコード読みとり式のレジは設定を間違えているのか、1個50円(税別)の石鹸が70円(税別)になったりする代物だ。 今日も私の597円(税別)のシートマスクが798円(税別)となっていたので、さっそく抗議した。 たった20円だろうが201円だろうが指摘させていただこう。 給料日前なのだ。 2ケタの金でも惜しい。 今日は3ケタだが。 まあ、あれだけ設定間違えてりゃ、よそのドラッグストアで買っても大差ないように思うが。 私は間違いを指摘するのでそう損はしていないと思う(多分な)。 私が間違いを指摘した上に以前、石鹸を買ったときも同様のことがあったと正直に告白したところ、店員の兄ちゃんは「すいません」とエスエスエスエスエスカップ♪をくれた。 エスカップくれるのはいいが、レジの設定を直してほしい……。 そして、店員の姉ちゃんは広い店内の中から売り場を探し出して親切にもシートマスクの代金を確認しに行ってくれた。 5分ほど待たされたが、無事訂正された代金を支払った。 長かったが、ここまでが前置きである。 先にレジを済ませていた友人に声をかけると、彼女は一心不乱に店内の一画で背中を丸めて何かを読んでいた。 近くへ行くと、「これこれ!」と厚紙で作った絵馬をたくさん吊してある金網を指さした。 そこには色画用紙で作られた鳥居が飾られており、「縁結び神社」と書かれていた。 絵馬には「ずっといっしょうまーくんといっしょにいられますように さちvv」(初め「まーくん」だか「うまーくん」だか分からなかった……)という微笑ましいものもあれば、「○○大学○○学部に入りたい」などと縁結びの意味を取り違えているものあり。 まあ、恋愛に関する縁結びに限定しなければそれもいいだろう。 友人は「ちゃうちゃう! こっち!」と別の絵馬を指さした。 そこには、「絶対×10000 黒いオトコに捕まらない」とボールペンで書き殴られていた。 黒いオトコって何? メン・イン・ブラックか? ……追われてるのだろうか。 それより、「縁結び」どころか「縁切り」の願いごとになっているのだが……。 願いごとどころか、決意表明のように見えなくもない。 さらに、「糞が出ますように」と丁寧に書かれているものがあった。 ここまで書くくらいだから、よほど出てほしいのだろう。 きっと、便秘気味の人なんだろうな。 これも、「糞との縁を結ぶ」というより、「糞との縁を切る」願いだと言える。 さらに、「カカスセリ」とだけ書かれている真意がくみ取れないものもあった。 カカスセリって何? ……暗号だろうか。 すでに願いごとですらない。 友人は「某国と連絡取り合っとるな。アカン、捜査員待機させとかな・・・」とキケンなうわごとを言っている。 本当に暗号だとしても、こんな暗号ヤダ。 他人様の絵馬をのぞき見るなど失礼極まりない我々であったが、それにしても、人それぞれ、想像もつかないような人生を送っているのであるなあと世の中の複雑さを垣間見た1日であった。 ところで、今度買い物したときにまたレジを打ち間違えられたらヤダなぁ……。 |
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