煙事件 |
その日、私はすさまじい異臭で目が覚めた。 しかし、目が覚めたものの、周囲は霧がかかったようにぼんやりとしている。 異臭は時間を追うごとにひどくなっていく。ちょうど火事の時の焦臭い臭いである。 ……まさか、火事なのか? ぼんやりした部屋の中を手探りで歩き、何とかドアにたどり着いた。 しかし、ドアを開けると、そこは一面の煙だ。 火事だ! 家族はのんきに寝ている。私は向かいの部屋の両親に声をかけた。 部屋から出てきた母はのんきだ。 「ありゃぁ〜、煙だらけで〜」 (方言で「まあ、煙だらけじゃないの」という意味。別に民謡ではない。) あんた、のんきにしてる場合じゃないよ、寝ぐせで頭ぼさぼさだし!! 父に至ってはのんきにのそのそ布団から出てきてるし!! やばい! やばいぜ! こんな状態じゃ、我々焼死じゃん! とりあえず、煙が一番ひどい1階へ母が行ったが、視界が悪いのと外見に反して慌てていたのか、ドスンと地響きをたてていた。 煙でよく見えなかったけど、転んだらしい。 「ちょっと、痛い! 痛いわよぉ〜ッ!!」 ぎゃあぎゃあとわめき立てている。 続いて父と私が1階へ行った。 台所が煙の発生源のようだ。 異臭と煙とで呼吸もままならない。あまりの臭さに窓を開けて回った。 心の中では、「あ、火事の時って窓あけたら空気が入ってきてよけいに燃えるんだっけ?? まあいいや。臭さには勝てねえ〜!!」などと思っていた。 結局、この火事の原因はガス炊飯器だった。 母が米をとぐときにガス炊飯器の内釜を使ってといだため、その重みで排水口のゴムパッキンが内釜に合体。 そのままタイマー炊飯したため、ゴムパッキンがガスに焙られて発煙したのだった。 ちなみに、母は「足が痛いわ〜」などと言っていたが、元凶を作った張本人であるため、だれにも心配してもらえなかった。 そのとき炊けたご飯はどうしたかというと、食べました。 だって、7人家族だから朝っぱらから6合くらい炊いちゃうから捨てるのもったいないし〜。 結局、ガス炊飯器は内側が焦げ焦げで、燃えたゴムがベタベタと張り付いていて、炊飯器としては使用できないような異臭を発する怪しい物体になったため、買い換えを余儀なくされた。 そして、その後1週間くらい異臭が家中を漂うことになった。 教訓1:排水溝のゴムパッキンに油断する事なかれ。 教訓2:ガス炊飯器の内釜を使って米をとぐ事なかれ。 教訓3:ガス炊飯器の内釜を使って米をといでもよいが、底に異物が付着していないか確認せよ。 さて、今回の騒ぎで一番すごい人は誰でしょう。 1 煙に一番に気付いて家族に声をかけた私 2 煙を発生させて家中を異臭でいっぱいにしてくれた母 3 煙に気付いてはいたが、「眠い」という理由で布団から出てこなかった弟1号 4 これだけ家中が大騒ぎしたにもかかわらず、その騒ぎに全く気付かず、炊飯器がいつの間にかニュー炊飯器になっていることすら気付かないじいちゃん |
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